こんにちは!
ヨーロッパにはおとぎの国にいるようなメルヘンチックで可愛らしい雰囲気のある街がいくつもあります。
「おとぎの国」の独特な街並を特徴づけているのが、「ハーフティンバー(木骨組)」の建築様式なんですね。
でもその建物の構造がどこかおかしく感じないでしょうか?
本日は木骨組建築の構造の謎、その具体例として木骨組が美しい街(ディズニーまたジブリアニメのモデルとなった下記2ヶ所)のお話です。
- フランスのコルマール:「美女と野獣」「ハウルの動く城」
- ドイツのローテンブルク:「ピノキオ」
ハーフティンバー(木骨組)とは?
ハーフティンバー(木骨組)とは、柱、梁、筋違、窓台などの木材の骨組みを外にむき出しにして、骨組みの間に煉瓦や漆喰などを埋めて壁とした、中世時代からの伝統的な木造建築様式のことをいいます。
ドイツを中心にオーストリア、スイス、フランス東部、英国などにみられる建築様式のこと。こういった地域には森林が多く、木材が安価に手に入ったため広く普及したようですね。
「木骨組」を各国の言語で表すと下記のようになりますよ。
- ドイツ語・・・ファッハヴェルクハウス
(Fachwerkhaus) - フランス語・・コロンバージュ(Colombages)
- 英語・・・・・ハーフティンバー(Half Timber)
ハーフティンバー(木骨組)の建築様式、構造の謎
さて、上の画像の建物をよくご覧になってみてください。構造が不思議な感じではありませんか?
1階よりも2階、2階よりも3階の壁が道路側にせり出ていますよね。すごくアンバランスな感じに思われないでしょうか。
構造の謎を解明
上階が崩れ落ちてはこないかと心配になられたかもしれませんが、大丈夫なんです。建物の構造上問題のないことなんですよ。
木骨組の建築様式の特徴は、壁を主体とする「面的な構造」です。つまりマッチ箱をひとつずつ上に積んでいくような「積み上げ式」というわけ。地震の心配がないゆえにできる構造なんですよね。
上にいけばいくほど壁が道路にせり出してくる、その見た感じのアンバランスさが妙に可愛らしいと思われませんか。
壁がせり出ている建物を建てた理由
では、そもそもなぜ上階の壁がせり出ているような建物を建てたのでしょうか。それには建物にかかる税金が関係しているのです。
中世の時代は建物の1階部分の床面積によって税額が決められていたそうです。
1階部分は税金が安くなるようになるべく狭くする。上階の面積を1階よりも広くとれば、より広い床面積を確保できて、さらに節税もできるわけですね。
実は可愛らしい建築様式にはそんな知恵が隠されていました。
日本の建物の建築構造
一方、日本の伝統的な木造建築は「線的な構造」となり、大黒柱を基本とした「組み立て式」。耐震性にも大きく関わっているようです。
根本的に木骨組とは構造が違うというわけですね。
なぜおとぎの国に思えるのか
ではなぜハーフティンバー(木骨組)の建物の街並が、おとぎの国に思えるのでしょうか。
私の考えではありますが、小さい頃から親しんでいるディズニーアニメの世界観のモデルが木骨組の建物の街に多いからなのだと思うのです。
そこで、木骨組の建物の景観が素敵な街はたくさんありますが、今回はディズニーアニメの世界観のモデルとなった、次の2ヶ所を木骨組の例としてピックアップしてみましたよ。
- フランスのコルマール:美女と野獣、ハウルの動く城
- ドイツのローテンブルク:ピノキオ
【おとぎの国 その1】アルザス地方のコルマール
ディズニーアニメ「美女と野獣」のベルが住む街のモデル
ディズニーアニメ映画の「美女と野獣」の主人公ベルの住む街のモデルにもなっているのが、フランス東部のアルザス地方コルマール。ドイツとの国境にほど近い街です。
ドイツ領になったりフランス領になったりを何度も繰り返し、2つの国に翻弄され続けた、そんな歴史を持つ街なのです。
アルザス地方では珍しく第二次世界大戦の戦火を逃れたため、16~17世紀の木骨組の建物が続く中世の街並が、そのまま残されています。おとぎの国のような可愛らしさですよね。
「フランスの最も美しい村」にも選ばれたこともあるんですよ。三角屋根の木骨組建築が特徴的ですね。
私はこの写真↑をみるとどうしても3匹の子豚が今にもお家から踊りながら飛び出てきそうな感じがするんですよね。
いや、出てきて欲しい!!(笑)
ジブリの「ハウルの動く城」のモデル『プフィステル館』
「プフィステル館 Maison Pfister」↓ はジブリの「ハウルの動く城」のモデルといわれています。映画の冒頭ではこの館にそっくりな建物が登場しますよ。
1537年帽子商人シェラーが建設し、1567年織物商人シュタットマンが外壁に装飾を施しました。美しい木造のベランダは16世紀当時イタリアで流行していたスタイル。外壁のフレスコ画とともに特徴的ですよね。
【おとぎの国 その2】 ドイツのローテンブルク
「ピノキオ」の舞台はローテンブルクがモデル
ドイツ、ロマンティック街道沿いのローテンブルク・オブ・デア・タウバー。
ディズニーアニメの「ピノキオ」の世界観に似ているため、ピノキオの舞台のモデルなのでは、と言われているんです。
ローテンブルグはドイツ周遊ツアーでは必ず訪れるほど、日本人に人気が高い街。
前述のコルマールと違い、第二次世界大戦の戦火の影響を大きく受けましたが、修復が重ねられ中世の街並が残されています。
三角屋根と木骨組の建物と石畳が特徴的で、おとぎの国さながらですよね。
中世時代のおとぎの国のような街並。その美しい街並を造りだしてる建物は、日本ではとても珍しい構造の木骨組様式。
それは間違いなく目に新しく映るものであり、旅の想い出のひとつに印象深く残ることでしょう。
こちらにもディズニーアニメのモデルとなったところがあります。
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