こんにちは!
イタリアのフラッグシップキャリアは「イタリアの翼」アリタリア航空でした。
フラッグシップキャリアとは、その国を代表する、国際的にも知名度の高い航空会社のことです。そのアリタリア航空の経営破綻のニュースには「やはり」と思う反面、数々の思い出のある航空会社だけに淋しい思いが残ります。
本日はアリタリア航空の思い出と新会社に関するお話です。
アリタリア航空の経営破綻
アリタリア-イタリア航空会社は2021年10月14日をもって消えてしまいました。
長期的な経営不振状態だったことに加え、2020年からの大規模感染症の影響が決定的となり、設立から74年間の歴史のページを閉じたのです。
アリタリアはイタリアの翼
アリタリアとは、アリ=翼、イタリアの造語で「イタリアの翼」という意味。74年間イタリアの翼として世界中を飛んでいたのですね。
アリタリア航空とのつきあい
アリタリア航空とは、かれこれ30年くらいのつきあいになります。プライベートな旅から始まって、添乗業務では何十回と利用していますが、今思うのは、数々の笑えるエピソードを提供してくれた航空会社だったということ。
しかし当時の心境を絵文字に表せば、こんな風です。→ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ
添乗員仲間の間でもいつも┐(´ー`)┌ な話題が尽きない、そんな航空会社でした。
「ヤレヤレ」のエピソード
では、ヤレヤレのエピソードをお話ししましょう。
①搭乗ゲートスタッフがなかなか現われない件
それはローマの空港でのことでした。搭乗ゲートにスタッフが現れるのは、通常搭乗開始時刻の15分程前。しかしその日は待てど暮らせどなかなか現れず、とうとう搭乗開始時刻を過ぎていました。
乗客全員が待ちわびる中、悠長に現れて、何事もなかったように作業を始めるアリタリア地上職員さん。
後で聞いたところ、遅れた理由はワールドカップの決勝戦でイタリアとフランスが戦っているところをテレビ観戦していたとのこと。
さぞかしいい山場だったのでしょうね。┐(´ー`)┌
イタリアの乗客の方は何も動じず。日本の方はヤレヤレな苦笑。
イタリアでは何事があっても心に余裕を持つことが求められるのです。
②「そばつゆ」の搭載がなかった件
ヨーロッパ発日本行きのフライトでは食事のプレートに蕎麦がよくついていました(最近はつかないような?)。
通常はビニールパックのそばつゆが添えられているのですが、全く見当たらない!なんと、機内への搭載を忘れたということだったんです!
┐(´ー`)┌
③作業の効率の悪さ
チェックイン作業など、他の航空会社と比べて2倍3倍の手間がかかります。隣のスタッフとのお話に夢中になって、作業が進まないなんてこともよくありました。
これはヤレヤレではなくむしろイライラでしたね。
世界的デザイナーの制服
一方、アリタリア航空には世界で1番素敵!と思えることもあったんです。
それは、制服。
ミラ・ショーンなど世界に名だたる有名デザイナーが手掛けているんですよ。特に1990年代のジョルジョ・アルマーニによるデザインが一番印象に残っています。ヘチマカラーでモスグリーンのジャケットがとてもシックでエレガントでした。
世界のトップブランドを数多く排出しているファッションの国の制服ですものね。本当に素敵だなぁと思いましたよ。
【人生初ヨーロッパ行きのフライト】
またプライベートな旅でもアリタリアには深い思い出があります。私の人生初のヨーロッパ上陸の旅にもアリタリア航空を選びました。30年位前のことです。
予約したのはアリタリアの航空券のみ。お宿は現地で行き当たりばったりで決めるというきままなひとり旅スタイル。
航路は今はなき南回り。成田→バンコク→ニューデリー→アブダビ→ローマまで、全行程22時間くらいだったと思います。飛行機に乗っていることが楽しくて楽しくてもっと長時間でもいい、と思っていたくらいでした。
CAの方がとてもフレンドリーで、これから始まるイタリアの旅に対する期待感がさらに上がったと記憶しています。
アリタリア航空のことは、良くも悪くも永遠に記憶に残るでしょう。
添乗業務中はイライラさせられたことも多々ありましたが、なくなってしまった今となっては寂しい気持ちで一杯です。
国営の新会社イタリア・トランスポルト・アエレオ
さて、アリタリア航空が2021年10月14日にピリオドを打ち、10月15日からは国営の新会社ITA Airways(Italia Trasporto Aereo イタリア・トランスポルト・アエレオ/Italy Air Transport)に経営が引き継がれています。
アリタリアのブランドもマイレッジプログラムも引き継がれる
アリタリアのブランドも引き継がれ、アリタリアが加盟していたスカイチーム(世界の航空会社の連合のひとつ)へITA Airwaysも加盟したことにより、アリタリアのマイレッジプログラム「ミッレリア」メンバーのマイレッジも引き継がれることになったようです。
そして10月末にローマでは元アリタリアCAの方達による失業への抗議デモが行われたとのこと。アリタリア職員の1万500人のうちITA Airways に雇用されたのはわずか2800人。
また ITA Airways に運良く雇用されたとしても、賃金カット、勤務の場所や時期を事前に余裕を持って知らされることがなくなったそうです。これでは予定が直前まで立たないですよね。
多くの問題をはらんでいる新生「イタリアの翼」のITA Airways のようですが、これは決して対岸の火事ではないと危惧の念を抱いているところです。