こんにちは!
ノルウェーには独特な造りの木造建築の教会があるのですが、これが実はディズニーアニメ「アナ雪」の氷の城のモデルになったと言われているんです。
しかしこの教会は氷のイメージとは真逆の真っ黒なカラスのような姿! しかも建設したのはヴァイキング!
本日は「アナ雪」の氷の城のモデルになったと言われる教会のお話です。
中世時代の木造建築のスターヴ教会
ノルウェーには他の国ではあまり見られない中世の時代の木造建築の教会があります。
スターヴ教会はどんな建築様式?
中世時代の独特な木造建築のキリスト教の教会のことを「スターヴ」教会といいます。ねじや釘を一切使わず、支柱を板に垂直にはめ込んだ、ノルウェー独特の建築様式なんです。
元々は教会の建物の重さを支える支柱のことを、「スターヴ stav」といったそうです。
スターヴ教会が現存する数は?
スターヴ教会は12~14世紀の間にはヨーロッパの北西部に広く存在していて、当時は1000棟以上あったそうですが、ほとんどが石造りの教会に建て替えられてしまっています。
一番多く残っているノルウェーでも現在は28棟を残すのみとなっているんですね。
ボルグンド・スターヴ教会
現存する中で一番保存状態がいいとされているのが、12世紀後半に建設されたといわれている「ボルグンド・スターヴ教会」です。
アナ雪のエルサが作った氷の城のモデル?!
実はこのボルグンド・スターヴ教会がディズニーアニメの「アナと雪の女王」でエルサが魔法で作った氷の城のモデル、と言われているのです。
高さ25m、屋根はうろこのような「こけら板」で造られています。この「こけら板」はうろこのように見えることから「龍のうろこ」といわれていますよ。
キリスト教では龍は悪のシンボル!
あれ、でもおかしいと思われませんか?
キリスト教では龍は悪のシンボルのはずです。(注:英国の一部や他の国では龍を神聖視しているところもあります。)
大天使ミカエル(ミシェル)がその姿を彫刻や絵画に表わされるときは、通常、剣を持つ戦士の姿。そしてミカエルの足元には退治した龍の姿があります。龍は秩序を乱す邪悪の象徴としてキリスト教では位置づけられているんですね。
それなのに、キリスト教のスターヴ教会では「龍のうろこ」だけではなく龍頭の装飾が施されているのです。
なぜなのでしょうか。
その謎を探ってみたいと思います。
そもそも誰がこの一風変わった建物を建てたのでしょうか。
それはヴァイキングたちでした。
ヴァイキングという民族
8~11世紀にスカンジナビア地方に住んでいた民族がヴァイキングです。
一般的には「ヴァイキング=海賊」で野蛮と思われがちですが、これはキリスト教徒側からの一方的な見方だったんです。
残虐な略奪者として考えられていたようですね。しかしそれが全てではなく、ヴァイキングは貿易や入植を平和的に進めることも多かったといいます。
ちなみにノルウェーのヴァイキングはアイスランドとグリーンランドに「無人の土地」を発見して定住し地域社会を築いています。さらにグリーンランドを発見したヴァイキングの子孫は北アメリカまで航海していますよ。
のちの研究では、海賊といわれたヴァイキングたちは、8~11世紀当時スカンジナビア地方に住んでいた人々全体を指す言葉となっています。
ヴァイキングたちは北欧神話を信仰していましたが、遠くの国まで遠征し、現地のキリスト教に触れ、その国、地域に同化していきました。
その後ノルウェーに戻ったヴァイキングたちがたくみな造船技術を利用して建てたのが木造建築のスターヴ教会というわけです。
ヴァイキングの高度な技術
航海能力に加え優れたヴァイキング船を造ることが出来るほどの、高度な技術がヴァイキングたちにはありました。
そしてヴァイキングの守護神が「龍」だったのです。彼らは船の船主や船尾に龍頭を魔除けとして付けていました。
教会の建設当時はまだヴァイキングの北欧神話信仰とキリスト教が混ざっていたため、キリスト教によく見られる十字架と、龍をかたどった飾りが付いている、というかなり独特な教会の飾り付けになっているわけです。
画像↑をご覧いただくと、屋根の両端に飛び出ているのが龍頭の飾りです。
ちょうど名古屋城の金のシャチホコのようですよ。シャチホコも「守り神」。火事のときに口から水を吐き出して消してくれるという伝説があります。ヴァイキングにとっての龍と同様に大切にされているわけですね。
教会全体がカラスのように真っ黒な理由
ところで、この教会のもう一つの特徴は教会全体が真っ黒なこと。なぜなのでしょうか。
それは、木の表面の腐食や虫がつくことへの防止策として、木タールを塗っているからなのです。
木材は松の木。4年に1度は塗り替えをしているそうですよ。
どうでしょう?
この教会を白く塗り変えたとしたらエルサの氷の城のようにみえますでしょうか。
近くにはビジターセンターがあり便利
1868年に新しいボルグンド教会ができてからは、博物館として保存されています。外観のみなら無料で一年中見学は可能です。入場見学なら有料。入場料金と見学可能な期間は下記の表のとおりです。
チケットはすぐ近くのビジターセンターにてご購入ができます。ヴァイキングの遺物などの展示もありますし、カフェやお土産店、お手洗いも利用できますよ。
入場料金表 | NOK=ノルウェークローネ(1クローネ約14円) |
---|---|
大人 | NOK 80 |
団体(15人以上)高齢者 | NOK 70 |
学生、子ども5歳~ | NOK 60 |
家族 | NOK 190 |
オープン期間 | ビジターセンターと教会の両方 |
---|---|
5/1~9/30 | 10:00~17:00 |
6/11~8/21 | 8:00~20:00 |
ボルグンド・スターヴ教会は、フィヨルド観光ツアーの拠点となるラルダール村の近くです。
こちらにもディズニーアニメのモデルとなったところがありますのでご覧くださいね。
↓